生成AIの業務活用が進み、多くの企業でプロンプト研修やツール導入が進められている。ところが、いざ研修やセミナーに参加しても「自分の実務で何を任せればよいのか分からない」と悩み、現場への定着が進まないケースは少なくない。画一的な操作知識をインプットするだけの講義と、多種多様な課題を抱える個別の業務現場との間には、依然として深い溝が存在していた。
こうした学びと実務のギャップを軽減し、現場の課題を直接アプリに落とし込む実践的な取り組みが動き出した。2026年9月、徳島県名西郡神山町の株式会社FemiCrossは、参加者が自分の業務に必要なAIアプリをつくる実践型プログラム「自分専用AIアプリを1日で完成させる実践デイ合宿」の開催実績を発表した。参加した17社19名全員が自社の業務課題に合わせた専用アプリを完成させる試みが、中小企業におけるAI活用の新たな突破口を切り拓こうとしている。(文=AI Base編集部)
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(引用元:PR TIMES)
地域企業の業務改善などを支援するFemiCrossは、2026年7月・8月に計3回、神山バレーサテライトオフィスコンプレックスにて合宿を開催した。講師は株式会社MIKAI Lab 代表取締役の松坂孝紀氏が担当。多様な業種の17社から延べ19名が参加し、全員が1人1個、計19個のAIアプリを完成させた。
本合宿の特徴は、AIの操作を学ぶだけでなく、参加者が日頃の業務を振り返り、「AIに任せたい仕事」を見極め、その場で自分専用のAIアプリとして形にした点にある。会場では、各社の課題に直結したツールが次々と生み出された。
価値基準.ヒト株式会社は、予約受付からスタッフ候補の選出、料金計算、LINE通知、Googleカレンダー登録までを一連で管理する予約アプリを開発。田中電機株式会社は、大量の現場管理Excelからキーワードで目的のファイルを探し出す見積検索アプリを形にした。

(引用元:PR TIMES)
また、龍昇学園は課題の進捗確認アプリ「サマする」を制作し、株式会社office SERENOはタレントの仕事情報をもとに報告書作成やスケジュール管理を効率化するアプリを完成させた。
(引用元:PR TIMES)
参加者からは、「アプリは難しいと考えていたが、自分でも作れると知ることができた」「AIに任せられる作業の多さに気づいた」といった声が寄せられ、日頃の業務で感じる「面倒くさい」を自ら見つめ直す契機となったことがうかがえる。
この催しからは、企業におけるAIの定着プロセスが「ツールの操作学習」から「現場主導の業務切り出しと即日アプリ化」へとシフトし始めたことがうかがえる。
中小企業がAI活用に躓いてきた背景には、業務の棚卸しを経ずにツールだけを導入し、その結果、日々の実務と噛み合わなかったという構造がある。現場が真に求めているのは汎用的なチャット機能ではなく、日々の作業の中で発生する「自社固有の面倒ごと」をピンポイントで解消する道具だ。外部の開発会社へ依頼するほどではない細かな不便を解消すべく、従業員自らが手を動かして1日でアプリ化した今回の体験は、AIを「特別な技術」から「気軽に使える日常の道具」へと変えさせる契機となるだろう。
また、多様な業種の参加者が集まり、互いの課題を見つめ直しながら開発を進めた環境も大きな意味を持つ。専門知識を持たない現場担当者であっても、自社の業務を深く理解していれば十分にアプリを設計できるという実感は、組織全体のデジタル化を前進させるはずだ。
AIの実装は大企業にとどまらず、中小企業が自らの手で業務を刷新する段階へ進んでいる。FemiCrossが提示した実践モデルは、日本の中小企業が外部依存を脱し、自律的なDXを進めるための足がかりとなるはずだ。
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