AIの導入が決定しても、翌日から役所の業務が大きく効率化されるわけではない。「何ができるのか実態がつかめない」「どんな指示を出せばいいか分からない」。そんな現場のリアルな戸惑いが、新しいテクノロジーの定着を阻む最大の障壁となっている。
この心理的な抵抗感を取り除くため、システムを提供する企業自らが全国の自治体を直接訪問し、現場の職員に「AIとの対話の仕方」を教える実践的な取り組みが広がっている。地方行政の生産性を引き上げる、伴走型支援がもたらす本質的な価値とは。(文=JapanStep編集部)
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2026年9月4日、行政向け生成AI「QommonsAI」を開発・運営するPolimill株式会社は、茨城県ひたちなか市の職員を対象とした活用研修を現地で実施したと発表した。
「QommonsAI」は、法律や政策、自治体事例など数千万件以上のデータを基に、エビデンスベースで自治体の課題解決を支援する特化型の生成AIだ。全国約1,000の自治体で利用されており、議会対応や政策立案など幅広い業務で活用されている。
(引用元:PR TIMES)
ひたちなか市で行われた研修には、近隣自治体を含め100名を超える参加者が集まった。研修のテーマは「自らプロンプト(指示語)を組み立てる」ことだ。従来の「要望を伝えれば、あとは生成を待つだけ」という受け身の捉え方から一歩進み、入力すべき情報が分からない時は「必要な情報を一問ずつ質問してください」とAIに依頼したり、課題を示したうえで「当市ではどうすべきか」と意見を求めたりする対話形式の活用法が紹介された。
(引用元:PR TIMES)
参加者は実践を通じて「書き方によって出力結果が変わる」ことを体験し、「これまで感じていた得体の知れない近寄りにくさが消え、心理的なハードルが大きく下がった」と高い評価を寄せている。特に、過去の答弁内容や議員ごとの特徴を踏まえた文章を作成できる議会対応AIの機能には驚きの声があがり、「より多くの職員に受講の機会を広げたい」といった組織全体での活用への期待が示された。
今回のひたちなか市での取り組みは、決して単発のイベントではない。同社は千葉県柏市において係長級以上の管理職111名に向けた研修を実施するなど、導入先の自治体を直接訪問し、各組織の課題に合わせた対面型研修を全国で展開している。
この、開発企業が現場へ直接足を運び伴走するというアプローチは、行政のDXにおいて実用的で本質的な解決策であると言える。
一般的に、新しいITツールが自治体に導入される際、マニュアルが配布されるだけで具体的な運用は現場に丸投げされてしまうケースが多い。しかし、生成AIは「人間がどう指示を出すか」によって出力の質が全く異なるという特殊な性質を持っている。そのため、初期の段階で「AIは賢い」「自分の業務が楽になる」という成功体験と手応えを職員自身がつかめなければ、日常の業務フローに定着することはない。
開発企業が直接現場のリアルな疑問に答え、議会対応などの自治体特有の業務に直結したプロンプトのコツを伝授する。このオープンな対話の場が提供されることで、職員のテクノロジーに対する心理的な抵抗感は「もっと使ってみたい」という純粋な意欲へと変わっていくだろう。
システムを納品して終わりではなく、現場で使いこなせる状態になるまで責任を持って伴走する。こうした現場に寄り添う実直なサポート体制こそが、人材不足に悩む地方自治体の業務を根本から変革し、質の高い公共サービスを持続的に提供していくための基盤となっていくはずだ。
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