四半期末や年度末を迎えるたび、企業の財務経理部門には過酷な決算ピークが訪れる。これまで多くの現場が定型業務の自動化を進めてきたものの、仕訳の不一致や取引の食い違いが発生するたびに、手作業での原因究明や修正に追われる状況は変わっていない。その結果、過去の数値を照合・証明する作業に忙殺され、経営判断を支える財務分析や業績予測といった業務に十分な時間を割けないのが実情だ。
こうした決算終盤の混乱を自律的に解消し、経理の役割を進化させる新たなアプローチが動き出した。2026年9月、米国に本社を置くエージェンティック・オペレーション企業のジェンパクト社は、財務経理に自律型AIを適用した「Genpact Record-to-Report Suite」の提供を開始した。AIエージェントが例外事象の根本原因を自ら調査・解消する仕組みが、事後対応に追われていた決算業務の風景を塗り替えようとしている。(文=AI Base編集部)
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(引用元:PR TIMES)
ジェンパクトが提供を開始した「Genpact Record-to-Report Suite(R2R Suite)」は、財務経理の仕訳や勘定照合、社内取引の各プロセスに自律型AIを適用したソリューションだ。
従来の決算自動化では、あらかじめ定義されたルールに沿って処理が実行されるのに対し、本ソリューションはAIエージェントが推論を通じて例外事象を調査し、根本原因を自律的に特定・解消する。さらに、その学習を次回の決算に活かすことで、サイクルを重ねるごとに迅速性と精度が向上する特徴も持ち合わせている。
本製品は3つの独立モジュールで構成されている。具体的には、データの取り込みから異常検知、計上までを担う「Genpact Record-to-Report Journal Entry(仕訳)」、取引の突合とエビデンスの検証を行う「Genpact Record-to-Report Reconciliation(勘定照合)」、不一致の検知と原因分類、見越計上の自動化を担う「Genpact Record-to-Report Intercompany(社内取引)」からなり、企業の優先度に応じて柔軟に導入できる。
期待される成果としては、決算ピーク時の作業工数を最大40%削減し、社内取引の不一致を最大99%リアルタイムで解消することを見込む。また、勘定照合の初回一致率は95%超を見込んでいる。
すでにモビリティ部品大手のTenneco社がパイロット導入を進めており、決算の早期段階で課題の根本原因を明らかにし、財務経理部門が勘定照合に費やす時間を、事業パフォーマンスの向上に充てる時間に移行できるかを検証している。
ジェンパクトによる今回のソリューションは、経理特化AIの焦点が「定型作業の機械的な自動化」から「例外処理を含む自律的なオペレーション」へとシフトし始めたということを示している。
これまで経理の負担となってきたのは、整ったデータの処理ではなく、決算終盤に浮上する原因不明の不一致を突き止める作業だった。ここをAIエージェントが自律的に調査・解消することで、現場は想定外のトラブル対応から解放され、監査対応を見据えた統制力と数値の信頼性を早い段階で手に入れることができる。また、実績値が迅速かつ正確に確定すれば、予測やシナリオプランニング、経営報告の高度化にもつながる。
さらに、この変化は財務経理部門の立ち位置をも再定義するだろう。過去の帳簿を締め、数値の正しさを証明することに費やしていた時間を減らすことで、事業の舵取りや戦略的な意思決定を支える業務へリソースを振り向けることが可能になるからだ。これはまさに、「受動的な検算係」から「データを武器に経営を導くパートナー」への進化だと言える。
AIの役割は、単に人間の指示を待つ段階を超え、実務に組み込まれて業務を自律推進するフェーズへと進んでいる。ジェンパクトが提示したアプローチは、企業の管理部門が真の戦略拠点へと脱皮するための確かな道しるべとなるだろう。
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