喉から手が出るほど欲しい先端技術を持つ研究者。好条件を提示する海外企業からの提携打診。グローバル競争が激化するビジネスの現場において成長を加速させるはずの、人や組織との出会いは時に、致命的な技術流出の引き金となる可能性もはらんでいる。
経済安全保障への関心が高まる中、財務や法務のデューデリジェンス(DD)体制を整える企業が増えている。DDとは、重要な意思決定を行う前に、相手や対象について詳しく調査・評価すること。取引相手の背後にある特定国家・組織との隠れた接点を洗い出す作業はしかし、多大な専門知識と調査工数を要する。十分な対応が難しい領域であり続けている。こうした意思決定の死角を排し、企業の防衛力を底上げする、新たな仕組みが動き出した。(文=AI Base編集部)
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(引用元:PR TIMES)
2026年7月30日、株式会社SolafuneとFortis Intelligence Advisory株式会社(FIA)は、人物や組織のリスク評価をAIが担う「Signal DD(シグナル ディーディー)」の提供を開始した。
「Signal DD」は共同研究、採用、M&Aや投資といった重要な意思決定を支援する純国産のAIエージェントサービスだ。2026年6月の資本提携に基づく第一弾の取り組みとして、初期導入企業10社の限定募集とともに開始された。
「Signal DD」の強みは、FIAが培ってきた防諜(カウンターインテリジェンス)の実務知見をAIの評価ロジックに組み込んでいる点にある。国家的な情報活動の実態や情報保全のノウハウを反映させることで、懸念される国家・組織との接点から一般的なコンプライアンス上の問題まで、広範なリスクを網羅的に検知・評価する。
さらに、Solafuneが誇る高度なAI解析技術がその実効性を担保する。文章だけでなく画像や音声を含むマルチモーダルデータと独自のインテリジェンスLLMを活用し、国内外の膨大な公開情報を自律的に収集・構造化。従来は多大なコストと期間を要していた調査・分析を、低コストかつ短納期で実現する体制を整えた。開発から運用、データの管理までを国内で完結させており、機微な意思決定に関わる情報を扱う場面でも安全に利用できる設計になっている。
オープンデータの自律解析によって高度な調査を低コストかつ短納期で実現するアプローチで、企業の経済安全保障を根底から支えようとしているのだ。
両社のこうした動きが示唆するのは、企業におけるDDの主戦場が「財務・法務の確認」から「人物・組織の背景評価」へと拡張し始めたという事実である。
従来の企業統治において、DDとは主に貸借対照表の精査や法的な契約関係の確認を意味していた。しかし、技術情報や機密データが「人」を介して持ち出される現代において、相手の所属組織や背後にある国家の影響力を把握しないまま提携を結ぶことは、企業の存続を揺るがすリスクを抱え込むことにほかならない。
こうした高度な人物・組織リスク評価はもとより、国家機関や一部の大企業だけが多額の予算を投じて実施する特権的な領域にとどまっていた。Signal DDの登場は、そうした領域をAIエージェントとしてパッケージ化し、スタートアップや大学の研究室など、技術流出の標的となりやすい現場へ広く行き渡らせる契機となりうる。
経済安全保障を事業戦略の一部として捉える時代において、性善説や直感だけに頼る意思決定はもはや通用しないといえる。SolafuneとFIAが提示した人的リスクの可視化モデルは、日本企業が自社の知的資産を守り抜き、グローバル市場で健全な成長を続けるための重要な基盤となるだろう。
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