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2026.08.17

感覚をデータ化。AIが担う制作物の品質評価

「なんとなく、しっくりこない」。クリエイティブの制作現場において、これほど作り手を困惑させる言葉はない。アイキャッチ画像一つをとっても、その良し悪しを判断する基準は、熟練のデザイナーやディレクターの感覚に委ねられてきた。評価が属人化している限り、制作の量を増やそうとすれば確認工程は停滞する。感性の領域に横たわるこの言語化できない壁が、制作現場における真のデジタル変革を阻む要因となってきた。

2026年7月、株式会社アイトリガーが提供を開始したクリエイティブの品質評価システムは、この曖昧な評価プロセスをデータによって可視化試みだ。プロの眼差しをAIに学習させ、点数と改善案として表示する。評価という業務そのものを再設計するこのアプローチは、クリエイティブ制作のあり方を「個人の才能」に頼る形から、「組織の資産」として運用する形へと転換させる一石となるだろう。(文=AI Base編集部)

感覚を点数と改善案へ。AXerが提示する「評価の標準化」


(引用元:PR TIMES

2026年7月7日に発表されたこの仕組みは、制作画像の品質をデザイナーの評価基準に基づき点数化し、具体的な改善点まで提示するものである。本システムは、マーケティング支援リソース「AXer(アクセル)」の新たな機能として実装された。背景にあるのは、クリエイティブの良し悪しの判断が特定の個人の感覚に依存しているために、品質のばらつきや教育の長期化を招いているという実態だ。

システムの技術的な中核は、熟練のデザイナーが頭の中で行っている評価の観点を言語化し、データとしてAIに持たせた点にある。生成AIが制作画像を読み取り、定義された基準に沿って品質を客観的に点数化する。これにより、「何が良いのか」「何が足りないのか」が、制作者本人にも、確認を行う第三者にも共通の言葉として見えるようになる。さらに、点数を出して終わるのではなく、「どこをどう直すと良くなるのか」という具体的な改善の方向性まで提示する機能を備えている。

(引用元:PR TIMES

アイトリガーは、この仕組みを自社の広報制作フローに先行実装し、すでに実運用を開始している。なお、本機能は単体のSaaSツールとして提供されるのではなく、業務フロー全体を設計・運用する「AXer」のリソースの一部として、各社の環境に最適化して実装されるものとなっている。

感性の「データ化」が拓く、クリエイティブの組織力

今回のシステム実装は、制作現場におけるAIの役割を、単なる「量産のためのツール」から、熟練者の判断基準を組織に定着させる「評価のインフラ」へと進化させる試みだ。

2026年現在、生成AIの普及によって、制作物を「作る工数」は大幅に減少した。しかし、それによって現場が抱える新たな課題は、大量に生み出される制作物やデザイン案の中から“正解”を選び抜き、一定の品質を担保する「評価の負荷」へと移っている。評価基準をデータとして共有可能な形にすることは、この新たなボトルネックを解消するための有力な手段となるだろう。

また、個人の「目利き」のノウハウを組織の共通言語へと変換することは、企業のブランディング戦略をより強固なものにする。ブランド特有の美意識やトーン&マナーをAIに学習させ、一貫性を評価する基準として機能させることで、多角的に展開されるクリエイティブの質を組織全体で均一に保てるようになるからだ。

クリエイティブ制作は、個人の感性という聖域を脱し、データに基づいた再現性の高い事業プロセスへ進化しようとしている。アイトリガーが提示した評価の自動化は、技術と感性の間に横たわる溝を埋め、あらゆる組織が一定水準以上のクリエイティブを安定して発信するためのインフラとなるだろう。