1. AI Base TOP
  2. ビジネス活用を学ぶ
  3. 対話で作るスタンプ。AI操作の新しい形

2026.06.09

対話で作るスタンプ。AI操作の新しい形

「複雑なプロンプトを入力しなければ思い通りの画像は作れない」。画像生成AIに対して、そんなハードルの高さを感じている人は多い。人間が機械のルールに合わせて専門的な言葉を並べる作業は、多くの一般ユーザーにとって高い壁となっている。
しかし今、日常会話のように「もう少しかわいくして」とAIに語りかけるだけで、面倒な作業をすべて代行してくれるサービスが登場した。身近なスタンプ作りという体験を通じて、AIと人間の新しいコミュニケーションの形が見えてくる。(文=AI Base編集部)

写真1枚とチャットで完結する画像生成

2026年4月29日、英国ロンドンに拠点を置くTiida Tech Ltdは、AIとチャットしながら写真1枚からLINEスタンプ用の画像40個を生成できるWebサービス「Stampo(スタンポ)」をリリースした。

(引用元:PR TIMES

家族や友人との間で広く使われるLINEスタンプだが、オリジナルのものを自作しようとすると、イラスト制作や表情のバリエーション作成、透過処理など多くの手間がかかる。また、従来の画像生成AIを使おうとしても、細かなプロンプトを入力する知識が必要であり、誰もが手軽に扱えるものではなかった。

(引用元:PR TIMES

Stampoは、この課題を「AIとのチャット」によって解決している。ユーザーはペットや子ども、手描きイラストなどの画像を1枚アップロードし、AIに対して「もっとかわいい雰囲気にしたい」「ゆるい手描き風にして」「家族LINEで使いやすいセリフにしたい」といった希望を自然言語で伝えるだけでよい。専門的なデザイン知識がなくても、AIとの対話を通じて自分のイメージに近い画像を作り上げることができる。

(引用元:PR TIMES

生成された40個の画像はZIP形式で一括ダウンロードでき、ユーザー自身でLINE Creators Marketへ申請する素材として利用可能だ。日本語をはじめ多言語に対応しており、料金は950円。購入前に生成結果を確認できる無料プレビュー機能も備えており、初めてでも安心して利用できる環境が整っている。

プロンプトからの脱却。対話が広げる可能性

複雑な専門用語を使わずとも、機械が人間の曖昧な言葉の意図を汲み取ってくれる。このアプローチは、テクノロジーと人間の関わり方が大きく変わりつつある状況を明確に表している。

これまで、デジタルツールを使いこなすためには、人間側がシステムの仕様を学び、機械が理解できる正確なコマンドを入力する必要があった。生成AIの登場初期も同様であり、いかに精緻なプロンプトを作成できるかがアウトプットの質を左右していた。しかし、Stampoのように「対話しながら微調整を行う」というインターフェースが普及すれば、ITスキルの有無に関わらず、誰もが最新技術の恩恵を最大限に享受できるようになる。

この変化は、ビジネスの現場においても極めて重要なヒントとなる。データ分析やクリエイティブ制作などの専門的な業務であっても、AIを「指示を出す対象」ではなく「相談しながら一緒に作業を進めるアシスタント」として活用できれば、業務のハードルは劇的に下がるだろう。人間が最初から完璧な指示を出すのではなく、AIが不足している情報を質問し、人間が自然な言葉でそれに答えることで、成果物の精度を高めていくことができるからだ。

人間が機械のルールに合わせる時代から、機械が人間の自然なコミュニケーションに寄り添う時代へ。対話という人間の最も基本的な行動がそのままシステム操作に直結するこの新しいインターフェースは、専門知識の壁を取り払い、あらゆる分野で新たな価値を生み出すための強靭な基盤となっていくはずだ。