ネットショッピングで商品を探す際、検索エンジンやECサイトに加え、生成AIを活用する動きが若年層の間で見られる。日常の情報収集だけでなく、商品やサービスの比較検討にも生成AIが利用される一方、情報の信頼性については従来の検索エンジンが重視されている。
こうした生成AIの利用実態は、企業のマーケティングやEC戦略にどのような変革を迫っているのだろうか。(文=AI Base編集部)
▼AI活用のヒントを毎日掲載!
AI活用の基盤をつくる『AI Base』
EC、金融、通信など幅広い事業を展開する楽天グループ株式会社は、若年層向けメンバーシッププログラム「楽天学割」の利用者を対象とした、Z世代の生成AI利用実態に関する調査結果を公表。調査期間は2026年7月1日~8月3日で、15~25歳の637人から回答を得た。
(引用元:PR TIMES)
調査によると、Z世代の約4割にあたる38.0%が生成AIを「ほぼ毎日利用している」と回答。利用用途では「勉強・学習」が62.6%で最多となり、勉強・学習の場面で生成AIの情報を「信頼している」と答えた人は48.5%に上ったことが分かった。
(引用元:PR TIMES)
注目すべきは、商品やサービスの検討・購入時における生成AIの利用状況だ。過半数となる54.3%が買い物時に生成AIを活用しており、具体的なシーンとしては「比較検討する商品を絞るとき(44.4%)」がトップを占めた。商品選びの効率化に生成AIが活用されていることがうかがえる(※1)。
(引用元:PR TIMES)
しかし、商品やサービスの検討・購入時に最も信頼する情報源を尋ねた所、従来の「検索エンジン(42.1%)」が最多となった。AIで大まかな候補を絞り込みつつも、最終的な購入判断やスペックの裏付けには従来の検索を併用するという、堅実な使い分けが浮き彫りとなった。
(引用元:PR TIMES)
なお、提供サービスにAIを導入する企業に対しては約3人に1人が「好印象」と回答した。具体的なイメージでは『先進的』が43.6%で最多となった(※2)。同社自身も2025年12月から楽天市場アプリに「Rakuten AI」を搭載。利用者との対話を通じて潜在ニーズを引き出し、約5億点の商品群から提案する仕組みを整えるなど、若年層の生成AIを活用した購買体験の提供に取り組んでいる。
(※1)「この用途で生成AIを利用していない」の回答を除いた場合
(※2)「特にイメージはない」の回答を除いた場合
今回の調査結果からは、若年層の商品選びにおいて、従来の検索エンジンに加えて生成AIが活用されていることが分かる。
これまでのECビジネスでは、検索エンジンやECサイト内で商品を見つけてもらうための対策が重要とされてきた。しかし、Z世代が「まずAIに候補を絞らせる」行動を日常化させたことで、購買の入口そのものが書き換えられつつある。
企業が自社のマーケティングや商品展開を見直す上で重要なのは、生成AIを通じて商品を見つけてもらうための工夫と、消費者が情報の信頼性を判断できる環境の整備という、2つの視点だ。
生成AIを通じた商品との接点を広げるには、AIが商品の特徴や活用シーンを正しく理解できるよう、自社製品の強みや利用文脈(どのような悩みを持つ人に最適かなど)を明確に言語化しておく必要がある。AIとの対話の中で推奨候補として名前が挙がらなければ、比較検討の土俵にすら上がれなくなるためだ。
一方、検索エンジンが情報源として高く信頼されていることを踏まえると、企業には商品仕様や使用条件などの正確な情報を、自社サイトなどで分かりやすく提供することも求められる。商品を効率的に比較できる利便性に加え、購入を検討する際に必要な情報の信頼性を確保することが、消費者の意思決定を支える上で重要になるだろう。
AIを使いこなす新しい消費者に向けて、対話型の導線と揺るぎない情報基盤をいかに両立させるか。この二段構えの視座を持つことが、これからのECビジネスで選ばれ続けるための不可欠な戦略となるはずだ。
▼AI活用のヒントを毎日掲載!
AI活用の基盤をつくる『AI Base』