訪問看護や訪問介護の現場で、「スケジュール調整」が経営者や管理者の大きな負担の一つとなっている。急な変更や移動時間を考慮したパズルのような作業は、本来注力すべき採用や経営の時間を容赦なく奪っていく。もし、誰がいつ空いているかをシステム側が自動で探し出し、最適な候補を理由とともに提案してくれたらどうだろうか。現場の事務負担を取り除き、事業の収益性を高める最新のAIエージェントの実力とビジネスへの影響を展望する。(文=AIBase編集部)
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2026年7月、訪問看護や介護向けにスケジュール最適化クラウドを提供する株式会社ゼストは、「AIエージェント」構想の第一弾として「ZEST AIアシスタント」の提供を開始した。
(引用元:PR TIMES)
これまでのシステムは「ユーザーが機能を選んで活用する」形が一般的だったが、同社はAI自らが考えて提案する「AIネイティブSaaS」への進化を掲げている。その第一歩として実装されたのが、現場の疑問を解決する「サポートAI」と、スケジュールを調整する「空き枠検索AI」だ。
(引用元:PR TIMES)
サポートAIは、Googleの生成AI「Gemini」を活用し、システム操作の質問に24時間回答する。入力データがAIの学習に使われることはなく、セキュリティも担保されている。
(引用元:PR TIMES)
より実務的な効果を発揮するのが空き枠検索AIである。新規利用者の受け入れ時などに曜日や時間を入力するだけで、AIが「どの職員がいつ空いているか」を瞬時に探索。「この時間帯は稼働率が〇%と低く、直前訪問からの移動時間を含めても余裕を持って収まります」といった推奨理由とともに最適な候補を提案するため、経験の浅いスタッフでも最適なスケジュール調整が可能となる。
(引用元:PR TIMES)
本機能は試験運転中として無料で提供されている。同社は今後、会議のスケジュール調整や名刺の自動入力補助、経営ダッシュボードのデータをAIが要約する機能など、研究・リリースしていく計画だ。さらにその先には、事業所の収益最大化を自律的にナビゲートする仕組みを続々と展開していく構えだ。
今回リリースされた機能群に目を向けると、企業向けソフトウエアのパラダイムが根本的に変わりつつあることがよく分かる。人間が機能を選択・操作するだけでなく、AIが必要な情報や最適な選択肢を提示する仕組みが広がりつつある。
在宅医療や介護の現場において、スケジュール調整は難易度が高い業務だ。利用者の希望時間、スタッフのスキルや相性、さらに訪問先までの移動時間など、複数の条件を考慮する必要がある。こうした複雑なスケジュール調整では、ベテラン管理者の経験に頼る部分も少なくない。しかし、その管理者が休めば業務が回りづらくなり、調整作業に追われるばかりで人材の採用や教育、収益向上に向けた戦略を練る時間が確保できないというジレンマを抱えていた。
AIエージェントが複数の条件を踏まえて空き枠を検索し、最適な空き枠を理由付きで提示する仕組みは、管理者のスケジュール調整を支援するアプローチと言える。システムが単なる予定表のデジタル化にとどまらず、管理業務のコアな判断部分を自律的に代行し始めたのである。
AIが手のかかる調整作業を巻き取ることで、管理者はスタッフとの面談や利用者家族へのケアといった、人間にしかできない高度なコミュニケーションにリソースを集中できる。
慢性的な人手不足と超高齢社会という厳しい環境に置かれた日本の介護業界において、テクノロジーを現場にどう定着させるかは大きな命題である。操作を覚えさせるのではなく、システム側が先回りして人間をサポートする設計思想は、DXに不慣れな現場でも成果を生み出す。システムが経営の自律的なパートナーとして現場を支え、持続可能な社会インフラを築くための強固な土台となっていくはずだ。
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