重要な意思決定や顧客の生の声が詰まった議事録。しかしその作成は担当者の時間を奪う単調な作業だ。記録されたテキストも実際、後から振り返られることは少ないのではないか。音声を文字に変換するツールは普及したものの、誤字の修正や要約の手間は依然として残されている。
この現状を打破し、会議の音声を検索可能な組織の知恵へと直接変換するシステムが注目を集めている。会話の文脈を理解し、過去の発言まで横断的に分析するテクノロジーが、企業の情報管理のあり方を根本から作り変えていく。(文=AI Base編集部)
2026年5月、mocomoco株式会社は、ポートメッセなごやで開催された国内有数の専門展「AIエージェントDXPO 名古屋'26 管理部門」および「AIエージェントDXPO 名古屋'26 営業・マーケ・DX推進」に、オールインワンAI音声認識サービス「モコボイス」を出展した。管理部門や営業・マーケティング部門のDXを加速するソリューションが一堂に会した場で、高精度な書き起こしや議事録作成の実機デモンストレーションを実施している。
(引用元:PR TIMES)
会議の書き起こしツールの導入が進んでいるが、「専門用語が正しく変換されない」「誰の発言か分からない」「そのままでは文章が不自然」といったさまざまな課題が浮上してもいる。結局、大幅な手直しが必要になるケースは多いだろう。
(引用元:PR TIMES)
モコボイスは、こうした現場の声に応える形で開発された。大規模言語モデルと独自のアルゴリズムを組み合わせることで、単なる音声のテキスト化にとどまらず、前後の文脈から脱字や句読点を自動で補完し、読みやすい文章へと校正する。医療や法律、金融といった業界特有の専門用語や社内の固有名詞も、事前に辞書登録を行えば正確に認識できる。さらに、AIが声の特徴と会話の文脈から「誰が話したか」を自動で推定し、既存のフォーマットに合わせた議事録までワンクリックで自動生成する仕組みを備えた。
今回の展示ではこれらの機能に加え、リアルタイムでの書き起こしと翻訳機能や、すべての音声データから「誰が・いつ・何を話したか」を横断検索して問い合わせに回答する新機能のベータ版なども公開された。
これまで、会議で発せられた一次情報である「生の声」は、議事録という要約されたテキストの裏側に埋もれてしまっていた。なぜその結論に至ったのか、誰がどのような懸念を抱いていたのか。そうした思考プロセスの多くは、参加者の記憶の中にしか残らない。だが、新機能として搭載された横断分析のように、過去のすべての音声データをAIが直接参照し、質問の意図に沿った的確な回答を導き出せるようになれば状況は一変する。
例えば、新しくプロジェクトに配属されたメンバーが、過去の会議音声からこれまでの経緯を検索して迅速に状況を把握できる。あるいは、営業担当者が顧客との過去の対話履歴を分析し、提案のヒントとなる細かなニュアンスや要望を正確に拾い上げることも可能になる。これは会議の記録が単なる「保管用の文書」から、組織全体でいつでも引き出せる「生きたナレッジのデータベース」へと進化したことを意味している。
さらに機密情報を扱う企業向けに、クラウドを使わず安全にデータを処理できるオンプレミス環境を提供している点も、情報管理の観点から非常に実用的だ。セキュリティを強固に担保しながら、組織内に散らばる一次情報を集約し、AIという有能なアシスタントを通じて必要な知見を瞬時に引き出す。
会議中の音声を、企業の確たる情報資産として活用する。この新たなアプローチは情報を探す無駄な時間を削減し、組織全体の意思決定の質を高める。日常の対話をデータとして蓄積し、そこから価値を抽出する情報管理の形は、変化の激しい市場環境を勝ち抜くための強靭な基盤を生み出していくはずだ。