毎月、毎週のように繰り返される定例の「報告書」や「提案資料」。過去のファイルを探し出し、最新の数値を手入力して、崩れたレイアウトを整え直す。知的とは言い難いこの「作業」には、多くのビジネスパーソンが膨大な時間を奪われてきた。
こうした現場の停滞に終止符を打つべく、新たな進化を遂げたのがJAPAN AI株式会社が提供する「スライド作成AIエージェント」だ。すでにあるPowerPoint資料をAIが読み込み、言葉による指示だけで最新の状態へと書き換える。資料作成が「ゼロからの労働」から「AIへのディレクション」へと変わる、実務上の決定的な転換点を追う。(文=AI Base編集部)

(引用元:PR TIMES )
2026年1月に発表されたJAPAN AIのアップデートは、スライド作成AIエージェントに「既存PowerPoint資料の編集機能」を追加するものだ。これまで多くのAI資料作成ツールは、白紙の状態から新しいスライドを生成することには長けていた。しかし、企業がすでに持っている特定のフォーマットやデザインを維持しながら、その「中身」だけを適切に更新することには、技術的な高い壁が存在していた。
特に現場の負担となっていたのが、スライド全体のレイアウトやフォント、配色を一括管理する「スライドマスター」の取り扱いだ。従来のAI活用においては、新規でスライドを作成するたびに改めてスライドマスターを読み込ませ、崩れた箇所を人間が微調整し直すという手間が残っていた。AIを使っているにもかかわらず、結局は「準備作業の繰り返し」が発生していたのだ。今回の新機能は、この実務上のラストワンマイルを解消するものである。
(引用元:PR TIMES )
具体的な操作は極めてシンプルだ。過去に作成したパワーポイントファイルをそのままAIにアップロードし、「先月の実績数値を最新データに書き換えて」「このスライドの末尾に、今期のトレンドを要約・追加して」といった自然言語で指示を出すだけでいい。
AIはアップロードされた既存資料の構造、デザイン、そしてスライド間の文脈を高度に認識する。その上で、既存のトーン&マナーを崩すことなく、指示された内容だけを的確に反映させた最新の資料を出力する。広告代理店の運用レポートや、営業担当者の定例提案資料など、フォーマットが固定されているがゆえに作業が定型化している業務ほど、その時短効果は劇的なものとなるだろう。
この機能追加が示唆しているのは、ビジネスシーンにおけるAIの役割が「クリエイティブな提案」という華やかなフェーズから、より泥臭い「実務の運用」のフェーズへと進化したことだ。
これまでのAI資料作成は、主にアイデアの種を出したり、構成案をゼロから立ち上げたりする「ゼロイチ(0から1)」の側面が注目されてきた。しかし、実際のビジネス現場を見渡せば、業務の8割以上は、すでにある資料を改善したり、時間軸に合わせて情報を更新したりする継続的なメンテナンス作業である。AIが「過去の自分やチームが作った資料」というコンテキストを理解し、その資産を継承できるようになった意義は、単純な効率化以上に大きい。
これにより人間は、見栄えの維持や転記作業から解放され、情報の解釈や戦略立案といった高付加価値な活動に専念できる。JAPAN AIは今後、PDF出力への対応や、モダンなデザインテンプレートの即時生成機能の追加も予定しているという。資料作成のスピード感は、さらに一段上のステージへと引き上げられるはずだ。
AIは「時々使う便利な道具」から、PCのOSのように裏側で常に働き続ける「知的インフラ」へとその姿を変えつつある。パワーポイントを開き、自分の手で一つ一つ文字を打ち換える。そんな当たり前だった光景が、AIエージェントというフィルターを通すことで、「AIとの対話」という極めてシンプルなプロセスへと統合されようとしている。資料作成という業務において、人間が担うべきは「何を伝えるか」という意思決定のみに集約されていく。そんな未来のワークフローが、いま手の届く場所に現れている。