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2025.09.12

デザインコンセプトの言語化:AIで「伝わる企画書」に仕上げる

 

<こんなお困りごとをAIが解決!>

●デザインコンセプトをうまく言葉で表現できない
企画書の説得力が足りず、クライアントや上司にアイデアが伝わらない
コンセプトの説明に時間がかかりすぎて、作業効率が落ちている
「これ、どういう意味?」と何度も聞かれて時間を浪費

言語化力の不足がデザイン業務のボトルネックになっている

デザイナーにとって、優れたデザインを生み出すことと同じくらい重要なのが、そのコンセプトを他者に伝えること。しかし「頭の中では明確なのに、言葉にすると説得力が落ちる」という悩みを抱えている方は少なくありません。

本記事では、AIを活用して、デザインコンセプトを魅力的かつ論理的に言語化し、誰もが理解できる企画書に仕上げる具体的な方法をご紹介します。

デザインコンセプトの「言語化の壁」を特定する

まずは、デザイナーがコンセプトの言語化に苦戦する典型的な問題点を見てみましょう。

1.直感と論理の乖離:ビジュアルで捉えた感覚を論理的な言葉に変換する難しさ
2.専門用語と一般言語のギャップ:デザイナー同士では通じる言葉が、クライアントには伝わらない
3.多義的な言葉の選択:「モダン」「クリーン」などの言葉の解釈が人によって異なる

4.背景知識の前提:デザイナーが当然と思っている文脈が共有されていない

こうした「言語化の壁」は、以下のような実務上の問題を引き起こします。

●クライアント満足度の低下(「イメージと違う」というフィードバック)
●修正回数の増加(コンセプトの理解不足による手戻り)
企画の却下(価値が正しく伝わらず、予算が通らない)
チーム内のコミュニケーションロス(デザイナー同士でも認識のずれが生じる)

AIによる解決アプローチ

そんなデザインコンセプトの言語化の悩みを解決するために、ここからはChatGPTを活用した具体的なテクニックをご紹介します。

Step 1:コンセプトの要素を明確化する

はじめに、頭の中にあるデザインコンセプトの要素を整理していきましょう。ChatGPTは質問を通じて、あなたのアイデアを構造化する手助けをしてくれます。

以下のプロンプトをChatGPTに入力してみましょう。

<プロンプト>

以下のデザインコンセプトについて、質問を通じてより具体的に言語化するのを手伝ってください。

【プロジェクト概要】
クライアント:地方の小さな醸造所
目的:新しいクラフトビールのパッケージデザイン

コンセプト:伝統と革新の融合、地域性を大切にしながらも現代的なデザイン

このコンセプトをより明確にするため、掘り下げるべき質問をしてください。

ChatGPTからは、例えば以下のような質問が返ってきます。

<出力結果>

これらの質問に回答していくことで、曖昧だったコンセプトがより具体的に整理されていきます。例えば、以下のように回答を整理してみるとよいでしょう。

<回答例>

1. 「伝統」の要素:
   - 醸造所の100年以上の歴史
   - 江戸時代から伝わる酒造りの技法

   - 藍色と白色の伝統的な色合い

2. 「革新」の要素:
   - 従来にない麦芽とホップの組み合わせ
   - 20-30代の都市部クラフトビール愛好家をターゲット

   - 最新の醸造技術を取り入れた新しい味わい

3. 「地域性」の要素:
   - 地元を流れる川の曲線
   - 地域の伝統工芸である組紐のパターン

   - 地元産の天然水をアピールポイントに

4. 「現代的なデザイン」の要素:
   - シンプルな線と余白を大切にしたミニマルデザイン
   - 北欧デザインからインスピレーション

   - 伝統模様を現代的に解釈したジオメトリックパターン

Step 2:言語化の精度を高める

次に、Step1で整理した要素をもとに、AIを使ってより洗練された言語表現に変換していきましょう。特に重要なのは、抽象的な表現を具体的で伝わりやすい表現に置き換えることです。

<プロンプト>

Step1で整理したコンセプト要素をより説得力のある文章に言語化してください。特に、以下の点に注意してください。

1. 抽象的な表現を具体的な例とともに説明する
2. 感覚的な言葉ではなく、視覚的にイメージできる表現を使う
3. クライアントが理解できる言葉で説明する(専門用語を避ける)

4. デザインがもたらすビジネス効果も含める

また、「伝統と革新の融合」「地域性と現代性の調和」といった一般的な表現を、このプロジェクト特有の言葉に置き換えてください。

<出力結果>

この出力例のように、AIは抽象的なコンセプトを具体的なビジネス文脈と結びつけた説得力のある表現に変換してくれます。プロンプトでは「抽象的な表現を具体的な例とともに説明する」など、明確な指示を与えることがポイントです。この言語化されたコンセプトを、企画書の核として活用しましょう。

Step 3:ビジュアルと言葉の整合性を確保する

企画書では言語だけでなく、ビジュアルイメージも重要です。言語化したコンセプトと実際のデザインイメージに一貫性を持たせるために、AIを活用してムードボードの作成方針を整理しましょう。

<プロンプト>

デザインコンセプトに合わせたムードボード の作成方針をアドバイスしてください。以下の点について具体的に教えてください。

1. 収集すべき素材やイメージの種類
2. 配色やトーンの方向性
3. レイアウトの考え方

4. 参考にすべきデザインの事例やジャンル

また、言語化したコンセプトとビジュアルの一貫性を保つためのチェックポイントも挙げてください。

<出力結果>

このようにムードボードの作成方針が整理できたら、実際に素材集めに着手します。AIによる出力結果をチェックリストとして活用し、各要素が言語化したコンセプトと一致しているか確認しながら進めると効率的です。

Step 4:プレゼンテーションの強化

最後に、言語化したコンセプトとビジュアルをクライアントや社内のスタッフに伝える際の説明文やプレゼンテーションの構成を整理します。これにより、企画書全体の説得力を高めることができます。

<プロンプト>

このデザインコンセプトをクライアントに説明するためのプレゼンテーション構成を考えてください。以下の内容を含めてください。

1. 導入部(クライアントの課題認識を確認する方法)
2. コンセプト説明の流れ(どのような順序で説明すると理解されやすいか)
3. ビジュアル提示のタイミングと方法
4. 想定される質問と回答例

5. コンセプトを伝える際の具体的な言い回しの例(技術的・専門的な要素を分かりやすく説明する方法)

また、プレゼンテーション全体を通して、クライアントに「このデザイナーは自分たちのブランドを深く理解している」と感じてもらうためのポイントも教えてください。

上記のプロンプトに対する出力結果は、やや長くなりますが全文を掲載します。

<出力結果>

この出力結果には、スライドに直接使える内容と、プレゼンの進め方に関するアドバイスが混在しています。AIの出力結果を常に鵜呑みにするのではなく、用途に合わせて取捨選択することが重要です。このプレゼンテーション構成を参考に、実際のプレゼン資料を作成していきましょう。

特に「想定される質問と回答例」を事前に準備しておくと、クライアントとの会話がスムーズになります。プロンプトでは業界特有の課題や専門用語をあらかじめ含めておくと、より実践的なアドバイスが得られるでしょう。

まとめ:言語化の技術を高めるAI活用法

AIを使ったデザインコンセプトの言語化は、以下の4つのステップで実現できます。

1.コンセプトの要素を明確化する
2.言語化の精度を高める
3.ビジュアルと言葉の整合性を確保する

4.プレゼンテーションを強化する

重要なのは、AIとの対話を通じて自分のアイデアを整理し、磨き上げていくことです。AIはいわば、「デザイナーの頭の中にある曖昧なイメージ」と「クライアントに伝わる言葉」の橋渡しをしてくれるツールなのです。

この方法を実践することで、従来は数時間かかっていたコンセプトの言語化作業を効率化できるだけでなく、企画書の説得力も向上します。特に、プレゼンテーション前の限られた時間での準備に威力を発揮するでしょう。

デザインの本質は視覚表現にありますが、その価値を最大化するためには、言葉の力も同様に重要です。ぜひAIを活用して、あなたのデザインの真の価値を伝える言語化能力を高めてみてください。