「本当に使い物になるのか」。B2BにおけるAIソリューションの導入検討において、この疑念を完全に晴らすのは容易ではない。どれだけ華やかなカタログスペックを並べ、成功事例を提示しても、導入側が抱く「自社の特殊な現場に耐えうるのか」「対話の質は自然なのか」という細かな不安は解消しきれない。
しかし今、AIベンダー自らがこの「信頼の壁」を、自社プロダクトの知能そのもので突破しようとしている。AI事業を展開するJetB株式会社が定額制アバター型AI面接サービス「Our AI面接」の公式サイトに設置したのは、自社開発の対話エンジン「うちのAI Chat」だ。24時間365日、顧客の問いに即座に、かつ的確に回答し続けるその姿は、単なるチャットボットの域を超え、自社プロダクトの質を身をもって証明する「饒舌な実証機」となっている。(文=AI Base編集部)
(引用元:PR TIMES )
2026年1月、JetBが開始したこの取り組みは、AI面接の導入を検討する企業が抱える「検討初期の足踏み」を解消するための極めて合理的な一手である。
AI面接の導入を検討する担当者にとって、費用対効果の算出や求職者の受験率への影響、自社の採用フローへの適合性など、確認すべき事項は多岐にわたる。従来、これらの疑問を解消するには営業時間内の電話対応を待つか、資料請求後の個別面談を待つ必要があり、そのタイムラグが検討の熱量を削ぐ要因となっていた。
この状況に対し、新たに設置された「うちのAI Chat」は、「ちょっとした疑問」をその場で解決する。このチャットボットには「Our AI面接」の機能詳細、料金体系、さらには人材派遣業や飲食業といった業界別の具体的な活用ノウハウが学習されている。こうした専門知識をあらかじめ備えているからこそ、「Our AI面接」について寄せられる「Our AI面接では何ができるか?」「人材派遣業での導入に参考になる資料はあるか?」といった具体的な問いに対し、専門的な見地から瞬時に回答することが可能なのだ。
(引用元:PR TIMES )
特筆すべきは、このチャットボットとの対話自体が、サービスの質をその場で確かめる「デモンストレーション」として機能している点だ。ユーザーは会話を通じて、AIの語彙の豊かさ、文脈の理解度、そしてレスポンスの速さを直接体感できる。アバター型AI面接という「対話の質」が商品価値となる商材において、接客担当であるAIが高いパフォーマンスを示すことは、言葉を尽くした説明資料よりも遥かに強力な信頼の証となるのだ。
JetBが提示したこのモデルが示唆するのは、AI時代におけるB2Bセールスの根本的な変容である。
これまでの営業プロセスは、人間が製品の価値を「説明」し、時間をかけて「信頼」を勝ち取っていくものだった。しかし、AIエージェントが社会に浸透しつつある今、顧客は説明よりも先に「実力」を体験することを求めている。プロダクト自身の知能を使って顧客の疑念を解く手法は、人間による営業活動の「自動化」ではなく、信頼構築そのものを「システム化」する試みといえる。
このパラダイムシフトにより、AI面接に対する心理的ハードルも劇的に低下する。「AIが求職者を正しく評価できるのか」というブラックボックスへの不安に対し、AIチャットボット自身が論理的にその仕組みを説き、かつその場での振る舞いを通じて能力を証明する。この「自己証明型」の接客は、情報の非対称性を解消し、投資判断のスピードを劇的に引き上げる。導入側にとっては、営業担当者とのアポイントを調整する前に、すでに導入後のイメージを確信レベルまで高められるからだ。
また、人間の営業担当者の役割も必然的に再定義されることになる。初期のQ&Aや基本的な価値訴求をAIエージェントが担うことで、人間はより高度なカスタマイズ提案、組織全体への導入戦略の策定、そして顧客との深いリレーション構築という「人間にしかできないフェーズ」に特化できる。これは、知的作業の「保守・運用」から人間を解放し、より創造的な対話へと役割を回帰させる次世代の労働モデルを象徴する構造といえる。
JetBの取り組みは、AI企業が自らの価値を社会に証明するための新しい標準的な作法を提示している。AIがAIを売り、人間がより高い視座でその指揮を執る。そんな未来のセールスワークフローが、採用という「人と組織の出会い」の現場から広がり始めている。