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2026.03.20

事業化を進める高校生のAI術【連載】あの人にAIについて聞いてみた

AI活用が前提になりつつある今、デジタルネイティブ世代はその進化をどう受け止め、暮らしや挑戦に組み込んでいるのか。本連載では当事者の言葉から、頭の中の見立てと具体の使い方を掘り起こす。今回は渋谷女子インターナショナルスクール(通称シブジョ)2年の石井愛梨さんに取材。第1回校内ビジネスコンテストで最優秀賞に輝き、ビジネスプラン「ALEUM」の事業化準備を学業と並走する石井さんにAI活用のリアルを聞いた。(AI Base編集部)

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渋谷女子インターナショナルスクール 2年生
石井愛梨さん

2008年生まれ。渋谷女子インターナショナルスクールの2期生。同校の第1回校内ビジネスコンテストで最優秀賞を受賞。アパレルブランド「ALEUM(アルム)」の事業化に向けて準備を進める。テーマパークなど「人種を問わず笑顔があふれる場所」が好き。

AIはZ世代の「心」を救う!?

石井愛梨さんは、2008年生まれ。渋谷女子インターナショナルスクール(通称シブジョ)の2期生として学ぶ現役の高校生だ。校内初のビジネスコンテストで最優秀賞に輝き、ビジネスプラン『ALEUM』の事業化に向けた準備を、学業と並走している。

石井さんは、急速に進むAIの進化に対して、デジタルネイティブ世代ならではの視点でとらえていた。
「AIについてはSNSでネガティブな意見も見かけますが、私はデジタルネイティブ世代の心の問題が改善される方向に向かっているのではないかと感じています」(石井さん)

石井さんが指す「心の問題」は、SNSと常時接続の環境がもたらした疲弊でもある。視線、評価、空気。可視化された他者の反応が、日常の意思決定にまで入り込む。情報より先に、感情が消耗している。だからこそ石井さんは、AIを「相談相手」として捉えていた。
「SNSなど、デジタルに疲弊してしまった気持ちをAIに相談することで救われる部分があると思うんです。AIであれば絶対に肯定してもらえたり、友達だったら空気を読んで話してくれなかったことも、話してくれたりします。何より対人間ではないので、どんなことを話しても大丈夫という安心感があります」(石井さん)

石井さんがAIを初めて使ったのは、驚くほど日常的な問いだった。

「最初にAIを使ったのは、怪我をしたときに、傷口がどのようにすれば治るかを調べたときでした。検索サイトで調べただけでは、一般的な情報しか出てこなかったのですが、自分の症状を細かくChatGPTに伝えたところ、詳細で分かりやすくまとまったものが出てきて、すごく興味を持ちました」(石井さん)

一般論ではなく、自分の状況に沿う答えが返ってくる。その体験を通じ、石井さんは、AIを「検索の代替」から「個別の文脈を扱える相手」へと位置づけ直した。以降、石井さんのAI活用は、生活にも自然に入り込んだ。

「母子家庭なので、私が夕食を作ることもあります。そんなときにレシピを聞くと、同じ料理でもいくつも案を出してくれて便利で、面白いです」(石井さん)

AIで学び、発表の精度を上げる

 石井さんは日常だけでなく、学びと発表の場面でもAIを使う。
「シブジョではAIの授業もあるんです。『AIは実は嘘をつくことがある』というハルシネーションの問題や、自分が知りたい情報の種類によってどのようにAIを使い分ければよいかなど、実践的な活用方法についても学んでいます」(石井さん)

石井さんが最優秀賞に輝いたビジネスコンテストの際にも、AIを強力なパートナーとして活用した。ただし、思考のすべてをAIに委ねるのではなく、あくまで「自分の内にあるアイデアを具現化し、相手に的確に伝えるためのサポート役」として位置付けていたという。
「1から10まで全部AIに聞くのではなく、自分の頭の中にあるものを形にするために使いました。例えば私はデザインがあまり得意ではなく、自分で描くと小さな子どもが描いた絵のようになってしまうため、表現したい詳細をAIに伝えて画像を出してもらい、スライドで活用しました。『AIに答えを出してもらってばかりいると自分で考える力がなくなる』と言われたりもしますが、使い方を変えればそんなことはありません。AIを使って自分の力が衰えるかどうかはその人次第なので、そこまでAIを悪く言う必要はないのかなと思います」(石井さん)

さらに、石井さんはビジネスコンテストでプレゼンテーションの質を高めるための「壁打ち相手」としてもAIを活用したという。
「作成したプレゼンの内容を一度AIに送って、『これについてどう思う?』と第三者の客観的な視点を求めました。また、発表を聞く相手が初めて私のビジネスを見る一般の人なのか、それともすでに一度話を聞いているビジネスの先生や校長先生なのか。そうしたターゲットを指定した上で、相手に合わせてどう改善したらいいか、構成が合っているかなどを相談していました」(石井さん)

プライベートの趣味においても、AIは手放せない存在となっている。近々予定しているという韓国旅行の計画でも、ChatGPTは優れたナビゲーター役になっている。
「韓国のおすすめのカフェや、巡りたいロケ地などをAIで調べています。古いドラマのロケ地などは普通に検索してもなかなか出てきませんが、AIならすぐに教えてくれます。Googleで検索する場合、いくつものサイトをいちいち開いて、それぞれのサイトの筆者のまとめ方に自分の気持ちを合わせながら読んでいかないといけません。でもAIだと、最適化された情報が、わかりやすく一気に見ることができてとても便利だと感じています」(石井さん)

最後に、AIに関心はあるが使い切れていない人へ、学生の立場からアドバイスをもらった。
「無理に使う必要はもちろんありませんが、使い方によっては確実に視野が広がるツールです。個人情報などのリスクにはきちんと気をつけつつ、まずは簡単なところから使ってみるのがおすすめです。例えば、今日のレシピを聞いてみたり、単なる話し相手として活用してみたりと、ハードルの低いところからAIの力を体験してみるのが良いのではないでしょうか」(石井さん)

AI活用のヒント】

・AIを「否定しない対話してくれる相手」に置き、SNS疲れや迷いを言語化して整える
・答えを任せず、アイデアの具体化や構成の点検など「相棒」として使う
・個人情報に配慮しつつ、レシピ相談など低いハードルの用途から試して習慣化する