多くの企業が採用難に直面している裏側で、採用担当者たちが膨大な実務作業に忙殺されている現実はあまり知られていない。特に、求職者の心をつかむための「求人原稿作成」は、クリエイティブな要素と正確性が求められる重いタスクだ。コア業務への集中を妨げる大きな要因となっている。
この構造的な課題を解決すべく、総合人材サービスのヒューマンリソシア株式会社が、ある大胆な業務改革に踏み切った。それは、AIエージェントを「専属ライター」として採用し、月間4,000件もの原稿作成を任せるというものだ。人間には不可能なスピードと品質を両立させ、年間4,800時間ものリソースを生み出すというその挑戦は、人手不足に悩むあらゆる企業の業務モデルを変える可能性を秘めている。(文=AI Base編集部)

(引用元:PR TIMES )
2026年1月15日、ヒューマンリソシアは、自社の求人広告作成業務において、AIエージェント基盤サービス「つなぎAI Powered by Dify」を導入したと発表した。同社が抱えていた課題は深刻だった。月4,000件に上る求人案件に対し、媒体ごとに異なるフォーマットで魅力的な広告文を作成しなくてはならない。これまでは1件当たり約20分、年間で16,000時間ものリソースを費やしていた上、担当者のライティングスキルによって原稿の「訴求力」にバラつきが生じることも悩みだった。
今回構築された新たな業務フローは、「AIによる高度化」と「RPAによる効率化」のハイブリッド型だ。そもそもAIエージェントとは、指示待ちのAIではなく自ら考えてタスクを実行する「頭脳」のような存在である。対してRPAは、決まった手順のPC作業を自動化する「手足」のようなソフトウェアロボットを指す。

(引用元:PR TIMES )
このフローでは、まず「頭脳」であるAIエージェントが、ターゲットとなる人材のペルソナ設定から、アピールポイントの整理、そして求職者に響く魅力的なテキストの生成までを一貫して行う。これにより、担当者の経験値に依存せず、常に高品質な原稿を安定して出力することが可能になった。そして、生成されたテキストのシステムへの入力やアップロードといった定型作業は、「手足」であるRPAツール「WinActor® 」が担う。
この「思考するAI」と「作業するRPA」の連携により、1件あたりの作業時間は約3割短縮された。年間換算で4,800時間もの削減効果が見込まれており、空いたリソースは求職者との丁寧なコミュニケーションやキャリア相談など、「人」にしかできない付加価値の高い業務へと振り向けられることになる。
今回の取り組みが持つ意義は、単なる一企業の業務効率化にとどまらない。ヒューマンリソシアが自ら実験台となり、AIとRPAを組み合わせた具体的な成功モデルを確立した点こそにある。
多くの企業が生成AIの導入を検討している。しかし「具体的にどの業務にどう使えばいいのか分からない」という声は依然として多い。そんな中、月4,000件という大規模な実務において、「品質向上」と「時間削減」の両立を実証したこの事例は、AI導入に二の足を踏む企業にとって強力な指針となるはずだ。単なるツールの導入ではなく、RPAなどの既存の業務システムとAIを適材適所で組み合わせる「オーケストレーション」こそが、実効性のあるDXの鍵であることを示している。
同社は今後、この社内実践で培ったノウハウを、生成AI活用や「つなぎAI」導入を検討する顧客企業の支援にも活かしていく方針だ。労働人口の減少により、あらゆる業界で生産性向上が急務となる日本。テクノロジーに任せられる仕事は徹底して任せ、人間はより創造的で本質的な仕事に向き合う。ヒューマンリソシアの実践は、私たちが目指すべき「次世代の働き方」の縮図を、鮮やかに映し出している。