
AI活用は日々の仕事や家庭、学びの現場にまで浸透し、私たちの思考や行動を支える存在へと変化している。本連載では、活躍するビジネスパーソンの実践や思考を通じて、AIとの新しい関係を探る。今回は、Meta Heroesで「AI MONDAY」のプロジェクトを率いながら、音楽家支援など幅広い分野で活躍する小林 奈美さんに、AIについて聞いてみた。(AI Base編集部)

株式会社 Meta Heroes プロジェクトマネージャー / 一般社団法人 日本音楽家支援協会 代表理事
小林 奈美さん
株式会社Meta Heroes のプロジェクトマネージャーとして、生成AIコミュニティ「AI MONDAY」を手掛ける小林さんは、AIの進化を「できないことがなくなる時代の到来」と捉えているという。音楽家として、経営者として、音楽家のキャリアを支える立場として、長く音楽業界でキャリアを積んできた小林さん。これまで数多くの試行錯誤を重ねながら挑戦を続けてきたが、「AIによって『頭を打ちながら学ぶ』という過程がなくなる」と実感しているという。
AIがもたらす最大の変化は、創造のスピードと自由度だという。「これまで外部にお願いしていた作業が内製化できるようになり、構想段階から完成形までの距離が一気に縮まりました。従来、外部に委託しなければ難しいと感じていたアプリ開発も、AIを使えば一人で作り上げられる。そう考えると、これからの数年で、私たちが想像していることはすべて実現可能になるのでは」と期待を込める。
AIを使いこなすことは、単なる業務効率化にとどまらず、「発想を具現化するための力を取り戻すこと」でもあると小林氏は強調する。これまで技術やコストの制約に阻まれていたクリエイターが、自らの頭の中の構想をダイレクトに形にできるようになった今、「AIは創造の民主化を進めるツール」だという認識が小林さんの根底にある。
小林さんは、仕事だけでなく日常生活のあらゆる場面でAIを活用している。ChatGPTはもはや業務の一部として定着しており、プレゼン資料の構成、アプリの設計補助、さらには学習にも活かしている。G検定受験時には過去問を取り込み、自動で問題を出す「AI家庭教師」を自ら構築。効率的な学習を実現した。「AIは自分専属の家庭講師であり、同時に伴走者でもある」と語る。
また、小学校2年生の子供をもつ母親として、生活にもAIは自然に溶け込んでいるという。子どもの学習サポートや、連絡ノート(日記)の内容整理などにも活用。「親がすべてを抱え込むのではなく、ときにAIに悩みを打ち明けてみることで心が軽くなることもある」と話す。家事・育児に追われるパパ・ママにとっても、AIは「思考の壁打ち相手」として有効だと感じている。
AIに慣れていない人へのアドバイスとして、「まずは独り言を打ち込むことから始めてみてほしい」と提案する。考えを言語化し、AIと対話する過程で、AIへの理解も深まり、より自分に合う活用方法が見えてくる。「AIは万能の答えを出す存在ではなく、思考を整理し、前に進むためのツール」と語るその言葉には、AIを日々使いこなしている小林さんだからこその説得力がある。
【AI活用のヒント】
・AIは「創造を加速するパートナー」。発想を具現化する力を取り戻そう
・AIを使えば、資格勉強では「自分専属の家庭教師」を実現できる
・まずは独り言から始めよう。AIは思考を整理し、前に進むための相棒になる