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2025.11.06

AI活用で「知らない自分」と出会える~【連載】あの人にAIについて聞いてみた

AI技術の進化は、私たちのビジネスや生活にどのような影響を与えているのか。また活用することで、自らをいかにアップデートできるのか。本連載では、現場で活躍するビジネスパーソンのAIとの向き合い方を探っている。今回は、「バーチャルマーケット」「VketReal」などを手掛けるXR企業、株式会社HIKKY COO/CQO さわえみかさんに、AIがもたらす新しい価値観と具体的な活用術を聞いた。(AI Base編集部)

お話を聞いたのは

株式会社HIKKY COO/CQO

さわえみか さん

クリエイターコミュニティ内ではAI活用に温度差も

HIKKYでCOO/CQOを務めるさわえさんは、近年のAIの進化を「非常に興味深く、多様な可能性を秘めたもの」と評価する。実際、Web3領域のインフルエンサーが、NFTを中心とした活動からAI関連の情報発信へと移行している状況に注目し、「最新技術への意識の高い層もAI分野における収益化への意識が高まっている」と分析する。

一方で、クリエイターコミュニティの内部には、AI活用に対する温度差が顕著に存在するという。「これは良い悪いではなく、確立されたクリエイティブスタイルを持つ人ほど、新しいツールへの依存に抵抗を示す傾向があるかもしれません」と語り、AIに関する話題は時にセンシティブな問題として扱われることもあるという。画像生成や動画化技術に対して「わからない」と交流を避ける人々も一定の割合で存在する、と語る。

一方でさわえさんは、この状況をNFTバブルやメタバース黎明期と類似したフェーズと捉える。従来は受け入れられなかったものが注目を集め、新しい価値観が生まれる転換期ともいえる局面だという。

澤江さん自身は、AIを業務にとどまらず私生活にもフル活用しているという。過去の自身の写真をAIに入力し「大手ファッションブランドの近未来風カジュアル」の服を着せ、踊る映像を生成するなど、エンターテインメントとしても楽しんでいる。その過程で、AIが自分自身の体型の細部まで反映させる高い精度に驚いたと振り返る。

実際に澤江さんがAIで生成した映像の一部

さらに6歳の子どもとAIを使った楽曲制作を行った際、普段は語られない「一人で寝るのが怖い」「ピアノを習いたい」といった子どもの本音が歌詞を通して表れ、家族のコミュニケーションツールとしての可能性も実感した。「AIは、自分の知らなかった一面や、家族の内面を引き出す存在になってくれました」と語る。

AIのビジュアル生成はチーム力を高める絶好の機会に

澤江さんがビジネスの現場でAIの効果を最も実感しているのは、チーム間の意識統一の効率化である。メタバース空間の企画設計のように抽象度の高いアイデアを具体化する際、AIによるビジュアル生成は大きな力を発揮するという。

「以前は時間を要したすり合わせが、AIを使うことで劇的に短縮された」と語る。会議中に「この空間でこういう体験を作ろう」とリアルタイムにイメージを生成し、ビジュアルをもとに議論できるため、チーム全体の方向性が瞬時に共有されるようになった。

ただし、AIが出力する成果を澤江さんは「完成品」とは見なさない。「綺麗に見えるけれど、痒いところに手が届かない」と指摘し、AIをあくまで「素材」の一部と位置づける。その上で「人間が培ってきた経験や感性」を組み合わせ、細部を調整することで質の高い成果物が実現できると語る。

また、AIはイメージの拡張にも有効だ。例えばアパレル分野では、デザイン画だけで評価するよりも、AIが生成したモデルに着せて歩かせた姿を見ることで、デザインの魅力が一段と高まることがある。こうした体験は、チームや顧客に新たな気づきをもたらすという。

AI活用がまだ十分でない読者に向けては、「まずは触れてみること」を強調する。AI系のコミュニティに参加したり、プライベートで試したりする中で、自分の特性に合った使い方が見えてくるはずだと語る。「AIは万能の解決策ではなく、人間の能力を補完する素材である」という視点を持つことが、実践への第一歩になると力を込めた。

AI活用のヒント】

・曖昧なアイデアを具体的に可視化し、チームの意識統一を加速できる
・AIは完成品ではなく「素材」の一部。人の経験と組み合わせることで価値が高まる
・まずは気軽に触れ、自分の特性に合った使い方を見つけることが出発点