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2025.10.23

「AI研修」の担い手が考えるAIの今と未来~【連載】あの人にAIについて聞いてみた

AIは単なる便利なツールから、自律的に動く「AIエージェント」へと進化し続けている。ビジネスパーソンとして、生活者として、いかにAIと共存していくべきか。実務の現場でAIを使いこなす方々にAIについての本音を聞いていく本連載。今回は、企業のAIリスキリング研修を推進する株式会社Meta Heroesの八崎 吏紗さんに、AIとの協働がもたらす新しい働き方の可能性を聞いた。(AI Base編集部)

お話を聞いたのは

株式会社Meta Heroes AI事業部 営業
八崎 吏紗さん

「AIエージェント」時代の労働の定義と人間の価値

八崎さんは、ここ数年のAIの進化を「想像を超える速さ」と表現する。少し前までは「便利なツール」という印象だったAIが、今では「自ら考え、動く存在」に近づいているという。「以前のAIは人の指示に従う『頭脳』のようなものでしたが、今は『目』で世界を見て、『口』で話す。これからは『手足』を持ち、実際に行動する『AIエージェント』の時代に入ってきています」と語る。

このような自律的AIの登場によって、「人が働く」という概念そのものが変わろうとしている。「これまでは人の労働力が中心でしたが、これからは『AIと協働する力』、そして『AIが労働する時代』に移っていく」と八崎さんは展望する。

とはいえ、AIの進化を歓迎しつつも、八崎さんはその本質をこう捉える。「どれだけAIが進化しても、価値を生み出す根本は人間にあります。だからこそ、これから重要なのは『AIをどう使うか』よりも、『AIとどう生き、働くか』を考えることです」と語る。AIを道具としてではなく、共に創造するパートナーとして捉えること。そこにこそ、次の時代の働き方の鍵があるという。

AIは「思考の壁打ち相手」。頼ることで生まれる創造性

八崎さんは、AIを「仕事のパートナー」として日々の業務に積極的に活用している。営業職として顧客リサーチやスケジュール管理、メール文面の作成、提案書の下書きなど、AIを活かす場面は多岐にわたる。「AIにサポートしてもらうことで事務作業のスピードが上がり、その分、考える時間やお客様と向き合う時間に集中できるんです」と語る。

また、AIは「思考の壁打ち相手」としても有効だという。「この提案の方向性どう思う?」「この言い回し、わかりやすいかな?」とAIに投げかけることで、新たな視点や表現を得られる。「自分では思いつかなかったアイデアが出てくることも多く、今ではAIなしでは仕事を進めるのが考えられないほどです(八崎さん)。

八崎さんが所属するMeta Heroesでは、企業向けAIリスキリング研修を展開している。

「Meta HeroesのAI研修は、『単に知識を学ぶ』というよりも、『AIを実際に使いこなす体験』にフォーカスしています。単にツールの使い方を教えるのではなく、『AIを業務にどう取り入れるか』を想像し、自分の手で体験しながら学んでいただく実践を重視しています」(八崎さん)

「ちょっと面倒だな」と感じたときにAIを頼ること、それが活用の第一歩だという。「全部自分でやらなきゃ、と思わず、『AIに聞いてみよう』と考えるだけで仕事のスピードも思考の整理も変わります。AIを使いこなすというより、頼ってみるくらいの気持ちで始めてほしい」と八崎さんは語り、締めくくった。

AI活用のヒント】

     ・AIの進化は「協働の定義」を変える。人は「AIと共に働く力を磨くこと」が不可欠に
・AIは「思考の壁打ち相手」。定型業務を任せれば、創造的な時間に集中できる
・完璧を目指さず、「頼ってみる」ことから始めてみよう。小さな一歩が変化を生む