●せっかく集めたデータが有効活用できていない気がする
アンケート調査は、多くの企業にとって重要なマーケティング手法です。しかし、その分析プロセスに頭を悩ませている企業は少なくありません。
「分析結果を分かりやすくまとめる作業が大変」
これらの悩みは、多くの企業や担当者が抱える共通の課題です。
本記事では、ChatGPTを活用してアンケート結果の分析作業を大幅に効率化し、より深いインサイトを抽出する具体的な方法をご紹介します。
はじめに、よくあるアンケート分析のフローを見てみましょう。
1.データの整理と前処理(2時間〜1日)
2.定量データの集計と図表化(1〜3時間)
3.自由記述回答の分類と傾向分析(4時間〜3日)
4.インサイトの抽出とレポート作成(3時間〜1日)
中規模のアンケート(回答数300〜500件程度)でも、分析完了までに1週間以上かかるケースも少なくありません。特に、以下のような状況ではさらに時間がかかります。
●自由記述の回答が多い(1問あたり100字以上の記述が多数)
●複数の切り口(年齢・性別・地域など)でクロス分析が必要
●予想外の回答パターンがあり、分類に迷う
●データ分析の専門スキルを持つ人材が不足している
このように、アンケート分析は想像以上に多くの時間と労力を必要とする業務なのです。
そんな時間のかかるアンケート分析の悩みを解決するために、ここからはChatGPTを活用して、分析作業を効率化する具体的なテクニックをご紹介します。
アンケート分析を効率化する上で最も重要なのは、データの整理と構造化です。ChatGPTを使ったデータ前処理の主なメリットは以下の通りです。
●エクセルやCSVデータの整形作業を短縮
●不完全な回答や誤入力の自動検出と修正案の提示
●自由記述の一次分類を自動化
●データフォーマットの統一化
では、実際の作業手順を見ていきましょう。以下のようなプロンプトをChatGPTに打ち込みます。
<プロンプト>
以下のアンケートデータを整理してください。
1. 明らかな誤入力や不完全なデータを特定
2. 自由記述回答を以下のカテゴリーに分類(複数該当可)
- その他
3. データの概要統計(回答者数、年齢層の分布、性別分布など)を算出
[ここにCSVデータや表形式のデータをコピー&ペースト]
実際に、ChatGPTが出力した結果の一例が以下です。
<出力結果>
次に、Step1で構造化されたデータを元に、自由記述回答のより詳細な分析を行いましょう。この段階でChatGPTを活用する主なメリットは以下の通りです。
●潜在的なパターンやクラスターの発見
自由記述分析のためのプロンプト例を見てみましょう。
<プロンプト>
Step1で分類した自由記述回答について、以下の詳細分析を行ってください。
1. 各カテゴリ内で最も頻出するキーワードTOP10とその出現回数
2. 回答の感情分析(ポジティブ/ネガティブ/中立の割合)
3. 特に注目すべき意見や提案の抽出(革新的なアイデア、強い感情表現を含むものなど)
4. カテゴリ間の関連性(例:価格に関する意見と品質に関する意見の相関など)
分析対象カテゴリ:商品の品質に関する意見
[ここに該当する自由記述回答データを貼り付け]
出力結果は以下の通りです。
<出力結果>
Step2までの作業で基本的なデータ分析ができました。次は、より深いインサイトを得るためのクロス分析に進みましょう。クロス分析でChatGPTを活用する主なメリットは以下の通りです。
●複数の軸を組み合わせた複雑な分析が可能
●予想外の相関関係やパターンの発見
●仮説の検証と新たな仮説の生成
●ビジュアル化の提案
クロス分析のためのプロンプト例は以下の通りです。
<プロンプト>
以下の属性情報を組み合わせたクロス分析を行い、重要なインサイトを抽出してください。
分析軸:
- 購入頻度(初回/年1〜2回/年3〜5回/年6回以上)
特に以下の点について分析してください:
1.属性ごとの満足度スコアの違い
2. 自由記述の内容と属性の関連性
3. 商品改善につながる重要なインサイト
4. ターゲット層ごとの特徴的な意見や要望
[ここにクロス集計用のデータを貼り付け]
出力結果は以下の通りです。
<出力結果>
最後に、これまでの分析結果を元に、実用的なレポートとアクションプランを作成しましょう。
レポート作成でChatGPTを活用する主なメリットは以下の通りです。
●分析結果の論理的な構造化と文書化
●エグゼクティブサマリーやプレゼン資料の自動生成
●データに基づいた具体的な改善提案
●さまざまなフォーマットへの対応(報告書、プレゼン、インフォグラフィックなど)
レポート作成のためのプロンプト例を見てみましょう。
<プロンプト>
これまでの分析結果をもとに、以下を含む最終レポートを作成してください。
1. エグゼクティブサマリー(1ページ以内)
2. 主要な発見事項(3〜5項目)
3. 顧客セグメントごとの特徴と対応策
4. 優先的に取り組むべきアクションプラン(短期/中期/長期)
5. 今後の調査で深掘りすべき点
特に経営層への報告を想定し、ビジネスインパクトを強調してください。
出力結果は以下の通りです。
<出力結果>
ChatGPTを活用したアンケート分析の効率化は、以下の4ステップで実現できます。
1.データの前処理と構造化
2.自由記述回答の詳細分析
3.クロス分析とインサイト抽出
4.レポート作成とアクションプラン立案
重要なのは、ビジネスの文脈や目的に合わせた適切なプロンプト設計です。まずは小規模なアンケートデータから始めて、徐々にプロンプトやプロセスを改善していくことをお勧めします。
このアプローチにより、従来は1週間以上かかっていた分析作業を、質を落とすことなく1〜2日程度に短縮することが可能です。ぜひ本記事で紹介した手順を参考に、自社のアンケート分析プロセスを効率化してみてください。