●商談資料の作成に毎回何時間もかかってしまう
●お客様ごとに資料をカスタマイズする時間がない
●商品説明や事例紹介の書き方にばらつきがある
●資料作成に時間を取られて、本来の営業活動ができていない
「もっと多くのお客様と会えれば売上が上がるはずなのに、資料作成に時間を取られて商談件数が増やせない...」
こんな悩みを抱える営業マンは少なくありません。商談資料の作成は営業活動において必須ですが、その一方で「本来の営業活動」からリソースを奪ってしまう作業でもあります。
本記事では、ChatGPTを活用して商談資料作成の時間を大幅に削減し、営業マンが「お客様との時間」を最大化するための具体的な方法をご紹介します。
まずは、典型的な商談資料作成のプロセスを見てみましょう。
1.内容の検討・構成立案(30分):どんな内容をどのような順序で伝えるか考える
2.必要な情報の収集(45分):製品情報や事例、データなどを社内資料から探す
3.スライド作成・文章執筆(90分):実際にスライドを作り、文章を書く
4.デザイン調整・校正(45分):見た目の調整や誤字脱字のチェック
これらを合計すると、1件の商談資料作成に約3時間半もかかることになります。特に、以下のような状況ではさらに時間がかかります。
●新規顧客向けで、ゼロから資料を作成する必要がある
●業界や顧客によって説明内容をカスタマイズしたい
●複数の製品・サービスを組み合わせた提案をする
●競合との差別化ポイントを強調したい
このような理由から、営業マンの多くは「資料作りの時間」に追われ、本来の営業活動である「お客様との対話」の時間が圧迫されているのです。
そんな時間のかかる商談資料作成の悩みを解決するために、ここからはChatGPTを活用して、作業を効率化する具体的なテクニックをご紹介します。
商談資料作成の効率化で最も重要なのは、資料の「型」を決めておくことです。テンプレートを事前に用意しておくことで、以下のようなメリットが生まれます。
●毎回ゼロから考える時間を削減できる
●伝えるべき情報の抜け漏れを防止できる
●会社としての一貫した訴求ポイントを維持できる
●チーム内で資料の品質にばらつきが出なくなる
特に、複数の製品やサービスを扱う企業では、製品カテゴリーごとのテンプレートを最初に整理しておくことで、資料作成の時間を大幅に短縮できます。
では、実際のテンプレート作成を始めていきましょう。以下のようなプロンプトをChatGPTに入力します。
※会社名・製品名は架空のものです
<プロンプト>
以下の条件で商談資料(PowerPoint)のアウトラインを作成してください。
【会社情報】
会社名:株式会社テクノプレイシア
業種:製造業向けソフトウェア開発
主力製品:生産管理システム「ProductionOne」
【資料の目的】
製造業の経営層・生産管理部門向けに、自社の生産管理システムを提案する
【訴求ポイント】
・導入3カ月で生産効率が平均20%向上
・多品種少量生産に対応した柔軟なスケジューリング機能
・既存の設備・システムとの連携が容易
・導入企業の95%が契約更新(継続率の高さ)
【資料の構成】
・表紙
・目次
・課題提起
・ソリューション概要
・製品詳細
・導入事例
・導入プロセス
・料金体系
・会社概要
なお、各セクションに含めるべき内容や表現についても具体的に提案してください。
実際に、ChatGPTが出力した結果の一例が以下です。
<出力結果:一部省略>
次に、Step1で作成したテンプレートをベースに、顧客ごとにカスタマイズする方法を確立しましょう。以下の理由から、顧客ごとのカスタマイズは非常に重要です。
●顧客ごとの課題に対する理解を示すことができる
●自社製品・サービスがもたらす具体的な価値を明確に伝えられる
●「テンプレート提案」ではなく「オーダーメイド提案」という印象を与えられる
●競合との差別化ポイントを顧客視点で強調できる
カスタマイズのポイントは以下の通りです。
●顧客業界の特有の課題・用語の使用
●顧客の規模・状況に合わせた事例の選択
●顧客が使用中のシステムを考慮した連携方法の提案
●顧客の予算規模に応じた導入プランの提示
それでは、先ほどのテンプレートを特定の顧客向けにカスタマイズするプロンプトを試してみましょう。
<プロンプト>
先ほど作成した生産管理システム「ProductionOne」の商談資料テンプレートを、以下の顧客情報に基づいてカスタマイズしてください。
【顧客情報】
会社名:鷹嶺製作所
業種:自動車部品製造
規模:従業員200名、年商30億円
・熟練作業者の退職により、生産計画の属人化が課題
予算感:初期費用2,000万円以内、ランニングコスト月50万円以内
【カスタマイズのポイント】
・同規模・同業種の導入事例(可能であれば)
課題提起、ソリューション概要、導入プロセスのセクションについて、具体的な内容案を提示してください。
出力結果は以下の通りです。テンプレートからどのように顧客別のカスタマイズができるかを確認してください。
<出力結果>
Step1、Step2で方針が決まったら、実際に商談資料に落とし込んでいきます。ChatGPTから得た内容を元に、PowerPointなどのプレゼンテーションツールで資料を作成していきます。
ここでは、ChatGPTを活用して効率的に作成するためのポイントをご紹介します。
まず、各スライドの詳細な内容をChatGPTに生成してもらいましょう。
<プロンプト>
「自動車部品製造が直面する課題」のスライドについて、以下の内容を生成してください。
1. スライドタイトル
2. 箇条書き4点(簡潔で分かりやすい表現で)
3. 各箇条書きの補足説明(話す内容として2~3文程度)
4. このスライドで使用すると効果的なデータポイント1つ
5. 顧客への質問(考えを引き出すもの)1つ
<出力結果>
視覚的な要素は資料の理解度を高めます。ChatGPTに図解のアイデアを出してもらいましょう。
<プロンプト>
「ProductionOneのシステム概要」を説明する図解のアイデアを提案してください。なお、以下の要素を含める必要があります。
・中核となるシステム機能(生産計画、在庫管理、実績収集、分析)
・既存システム(基幹系、ERPなど)との連携
・現場端末(タブレット、センサーなど)との連携
・データの流れと各部門のメリット
図解の構成案とそれぞれの要素の説明文を提案してください。
<出力結果>
説得力を高める事例紹介も、ChatGPTを活用して効率的に構成できます。
<プロンプト>
自動車部品製造業(従業員100~300名規模)での「ProductionOne」導入事例のスライド構成を作成してください。なお、以下の情報を含めてください。
・企業プロフィール(匿名化したもの)
・導入前の課題(3点)
・導入したソリューション(機能モジュール)
・定量的な成果(生産効率、納期遵守率など)
・定性的な成果(現場の声など)
・導入期間と投資対効果
1枚のスライドに収まるよう、簡潔にまとめてください。
<出力結果>
最後に、作成した資料の品質をチェックし、改善するプロセスも効率化しましょう。ChatGPTを活用して、以下のポイントを確認します。
<プロンプト>
作成した商談資料の以下のスライドタイトルとキーメッセージを確認し、一貫性や論理的な流れについてフィードバックしてください。
1. 「自動車部品製造業が直面する課題」→ 多品種少量生産への対応が急務
2. 「ProductionOneソリューション概要」→ 納期短縮と品質向上を両立
3. 「主要機能と特長」→ 直感的に使える現場向け機能
4. 「導入事例:A社の成功」→ 3カ月で納期遵守率15%向上
5. 「導入プロセスと支援体制」→ 段階的導入で業務影響を最小化
6. 「投資対効果と料金体系」→ 18カ月での投資回収を実現
各スライド間のつながりや、伝わりづらい点、改善案があれば指摘してください。
<出力結果>
<プロンプト>
自動車部品製造業の経営層・生産管理部門に対して、生産管理システムを提案する際に、説得力を高めるためのポイントをアドバイスしてください。
特に以下の点について具体的な提案が欲しいです。
・数値やデータの効果的な見せ方
・競合システムと差別化するための表現
・導入の不安を払拭するための伝え方
・経営層と現場それぞれの関心ポイントの押さえ方
<出力結果>
AIを活用した商談資料作成の効率化は、以下の4ステップで実現できます。
1.商談資料のテンプレート作成
2.顧客別カスタマイズ
3.実際の資料への落とし込み
4.資料の品質チェックと改善
このステップに従い、メッセージの一貫性や説得力を高めるためのアドバイスまでをAIから得ることで、資料の質を向上させることができます。
重要なのは、自社の製品やサービスの特徴、顧客の状況を踏まえた適切なプロンプト設計です。最初は簡単な部分から始めて、徐々にプロンプトの精度を高めていくことをお勧めします。
このアプローチで、従来は3時間半程度かかっていた商談資料作成を45分〜1時間程度まで短縮することができるでしょう。これにより、営業マンは本来の営業活動、つまりお客様との対話や関係構築に多くの時間を使うことが可能になります。
ぜひ、本記事で紹介した手順を参考に、ChatGPTを活用した商談資料作成の効率化に取り組んでみてください。