●メールの誤字脱字が多く、相手に悪印象を与えていないか不安
●文章の長さや構成に自信がなく、何度も書き直して時間がかかる
●「伝わる文章」と「伝わらない文章」の違いがよく分からない
●「です・ます調」と「である調」の混在など、文体の統一ができていない
ビジネスパーソンの多くが、日々の業務でのメール作成に悩みを抱えています。「急いでいるときに限って誤字を送ってしまう」「文章が長すぎるせいで、要点が伝わっていない」といった経験はありませんか?
本記事では、AIを全く使ったことがない方でもできる、ChatGPTを活用したメールの文章校正の具体的な方法をご紹介します。AI活用を身につける第一歩として、最も身近なテキストコミュニケーションから改善していきましょう。
まずは、ビジネスメールにおける典型的な問題点を見てみましょう。
1.誤字脱字による信頼の低下:単純なミスでも、相手に「注意力が足りない」という印象を与えかねません。
2.冗長な文章構成:要点が分かりにくく、読み手の時間を奪い、重要な情報が埋もれてしまいます。
3.曖昧な表現:「できるだけ早く」「なるべく」といった言葉は、期限の解釈にばらつきを生じさせます。
4.文体の不統一:「です・ます調」と「である調」が混在するなど、プロフェッショナルさに欠ける印象を与えます。
これらの問題は、以下のようなビジネス上のリスクにつながります。
●取引先との関係悪化(誤解や不信感を生む)
●業務効率の低下(説明の追加や修正のやり取りが増える)
●重要な判断の遅延(意図が伝わらず決裁が遅れる)
●社内での評価低下(「コミュニケーション能力が低い」と判断される)
特に入社1〜3年目の若手社員は、このような問題に気づかないまま同じミスを繰り返し、知らず知らずのうちに自身の評価を下げてしまっているケースも少なくありません。
ここからは、ChatGPTを活用した文章校正の具体的な方法を紹介します。AIを初めて使う方でも安心して取り組める、非常にシンプルなステップです。
校正してほしいメール文と、どのような点を修正してほしいかをChatGPTに伝えます。以下のようなプロンプトを入力してみましょう。
<プロンプト>
以下のビジネスメールを校正してください。
・誤字脱字のチェック
・文章の簡潔化
・曖昧な表現の明確化
・文体の統一(です・ます調に統一)
・ビジネス文書として適切な敬語表現
【メール原文】
田中様
お世話になっております。A社の佐藤です。
先日は弊社製品についてご検討頂きまして、誠にありがとうございました。
ご質問いただいた件について、できるだけ早く回答させていただきたいと思います。
納期についてですが、ご注文から概ね7日程度でお届け可能である。但し、カスタマイズをご希望される場合は、別途2週間ほど頂戴する場合もございます。
詳細な仕様等につきましては、添付資料をご確認くださいませ。
何卒よろしくお願いいたします。
佐藤
ChatGPTは入力された文章を分析し、改善点を指摘した上で修正案を提示してくれます。以下は、実際の出力例です。
<出力結果>
ChatGPTの提案を見て、自分のメールに適用する内容を選びます。すべての提案を採用する必要はなく、自分のスタイルや社内ルールに合わせて取捨選択しましょう
基本的な校正に慣れてきたら、さらに一歩進んだ活用方法にチャレンジしてみましょう。
メールの目的や相手によって、適切な文体や表現は変わります。以下のようなプロンプトで、より状況に合わせた校正が可能です。
<プロンプト>
以下のメールを、「初めて取引するお客様への提案メール」向けに校正してください。
・簡潔で分かりやすい表現に
・信頼感を醸成する丁寧な表現に
・具体的な数値や事実を強調
・結論から先に伝える構成に
・次のアクションを明確に
【メール原文】
[校正したいメール本文を貼り付け]
よく送るパターンのメールは、テンプレート化しておくと効率的です。ChatGPTに複数のパターンを作成してもらい、状況に応じて使い分けましょう。
<プロンプト>
以下のシチュエーションにおけるビジネスメールのテンプレートを3パターン作成してください。それぞれ、語調の強さが異なるバージョンで作成してください。
シチュエーション:納期遅延の連絡
重要ポイント:
・遅延の理由(部品調達の遅れ)
・新しい納期(1週間後)
・お詫びの気持ち
・代替案の提示(一部先行納品の可能性)
海外の取引先とやり取りする場合、文化的な違いを考慮したメール作成が重要です。ChatGPTに文化的背景を伝えることで、より適切な表現を提案してもらえます。
<プロンプト>
以下の日本語のメールを英語に翻訳し、アメリカの取引先向けに文化的な調整を行ってください。
・直接的で簡潔な表現に(日本語特有の遠回しな表現を避ける)
・結論から先に伝える
・日本特有の季節の挨拶は省略か、相当する表現に置き換え
・敬語表現は適度な丁寧さに調整
【メール原文】
[調整したいメール本文を貼り付け]
ChatGPTを活用したメール校正は、AIを業務に取り入れる最初のステップとして最適です。その理由は以下の3点です。
1.リスクが低い:校正結果は必ず人間が確認するため、AIの誤りによる重大な問題が生じにくい
2.即効性がある:導入当日から効果を実感できる
3.学習効果が高い:AIとのやり取りを通じて、自身のライティングスキルも向上する
AIの活用に不安を感じている方は、ぜひメールの校正から始めてみてください。文章の質の向上だけでなく、「AIとどう付き合うか」を学ぶ貴重な経験にもなるでしょう。
最初は単純な校正から始め、徐々に応用的な使い方へとステップアップしていくことで、無理なくAIを自分の仕事の味方にすることができます。このプロセスを通じて重要なのは、AIとの適切な役割分担です。AIは完璧ではなく、あくまでも「知的なアシスタント」という立場。最終的な判断や責任は人間にあることを忘れずに、上手に活用していきましょう。