●会議の内容を忠実に記録するのに時間がかかりすぎる
●議事録の書き方がわからず、何を書けばいいのか迷ってしまう
●箇条書きのメモから正式な議事録への変換が面倒
●議事録作成に時間を取られ、本来の業務に支障が出ている
●複数の会議の議事録作成が重なると、どうしても後回しになってしまう
毎週のように行われる会議の議事録作成、多くのビジネスパーソンが頭を悩ませている業務の一つです。「会議中はメモを取るのに精一杯で、後から整理する時間がない」「何をどこまで詳しく書けばいいのかわからない」など、議事録作成にはさまざまな悩みがつきものです。
本記事では、AIを活用して、簡単なメモや箇条書きから完成度の高い議事録を効率的に作成する方法をご紹介します。AIの力を借りることで、議事録作成にかかる時間を大幅に削減し、より本質的な業務に集中できるようになります。
はじめに、一般的な議事録作成のプロセスとそれにかかる時間を見てみましょう。
1.会議中のメモ取り
2.メモの整理・構造化(30分〜1時間)
3.議事録の文章化(1時間〜2時間)
4.内容の確認・修正(30分)
5.関係者への共有・フィードバック対応(30分)
1回の会議につき、最低でも2〜4時間もの時間が議事録作成に費やされています。特に以下のような状況では、さらに時間がかかることが多いです。
●技術的な内容や専門用語が多い会議
●複数の議題や決定事項がある会議
●参加者が多く発言が錯綜する会議
●文書化の経験が少ない担当者が作成する場合
この「見えない負担」は、本来の業務時間を圧迫し、議事録の質にもばらつきを生じさせる原因となっています。
ここからは、ChatGPTなどのAIを活用して、議事録作成を効率化する具体的な方法をご紹介します。AIの特性を理解し、適切に活用することで、質の高い議事録を短時間で作成できるようになります。
議事録作成の第一歩は、会議中に取ったメモをAIに適切に伝えることです。まずは以下の情報を整理しましょう。
●会議の基本情報(日時、場所、参加者、目的)
●議題と各議題に関する主なポイント
●決定事項や次回までのアクション
●特に重要だった議論や意見
これらの情報を箇条書きでまとめたら、以下のようなプロンプトを作成してChatGPTに入力します。
<プロンプト例>
以下の会議メモを正式な議事録に変換してください。
【会議基本情報】
・日時:2025年3月15日 10:00-11:30
・場所:オンライン(Zoom)
・参加者:鈴木(営業部長)、田中(マーケ課長)、佐藤(開発リーダー)、山本(デザイナー)、私(PM)
【議題】
1. 新サービスのローンチスケジュール確認
・当初4月予定→システム開発の遅れにより5月中旬に変更
・田中:WEB広告は4月から先行して開始したい
・佐藤:最低限の機能は4月末には完成見込み
2. マーケティング施策の進捗
・InstagramとXのプロモーション企画を承認
・予算を当初の150万円から200万円に増額(鈴木承認済み)
・山本:クリエイティブ制作は3月末までに完了予定
【決定事項】
・ローンチ日:5月15日に決定
・プレスリリース:4月末に配信
・次回会議:3月29日 同時刻
【アクションアイテム】
・佐藤:開発進捗を週次で共有
・田中:広告出稿計画の詳細を来週提出
・山本:クリエイティブ案を3/22までに提出
以下の形式で作成してください:
1. 会議概要(日時、場所、参加者、目的)
2. 議題ごとの議論内容(重要なポイントを含む)
3. 決定事項
4. アクションアイテム(担当者と期限を明記)
5. 次回会議予定
ビジネス文書として適切な敬語と明確な表現を使用し、箇条書きと文章をバランスよく使ってください。
ChatGPTが出力した議事録の例を見てみましょう。
<出力例>
AIが生成した議事録を確認する際は、以下のポイントに注意しましょう。
●日付や数字に誤りがないか
●参加者の所属や役職が正確か
●決定事項の内容が正確に反映されているか
●社内の一般的な文書スタイルに合っているか
●専門用語や略語が適切に使われているか
●敬語の使い方に問題はないか
●重要な議論が抜け落ちていないか
●逆に、不要な詳細が含まれていないか
必要に応じて、以下のようなプロンプトで修正依頼を出すことができます。
<修正プロンプト例>
以下の点を修正してください。
1. 会議の参加者の敬称を「様」から「さん」に変更
2. 「ローンチ」という表現を「リリース」に統一
3. 2.1のセクションに、「最低限の機能」の具体的な内容を追記:「ユーザー登録・基本検索・マイページ機能」
4. アクションアイテムの表に「優先度」の列を追加
<修正後の出力結果>
効率的に議事録を作成するためには、自社や部署に適したテンプレートを作成しておくと便利です。以下のようなプロンプトでChatGPTにテンプレート作成を依頼できます。
<プロンプト例>
当社の定例会議用の議事録テンプレートを作成してください。その際、以下の要素を含めてください。
1. 会議タイトル、日時、場所、参加者(出席者と欠席者を区別)
2. 前回のアクションアイテムのフォローアップ
3. 今回の議題(最大5項目)と各議題の要点
4. 決定事項
5. 新たなアクションアイテム(担当者、期限、優先度)
6. 次回会議の予定
7. 添付資料や参考リンク
形式はマークダウン形式で、コピー&ペーストして利用しやすいようにしてください。また、各セクションには簡単な記入例も入れてください。
作成したテンプレートを会議前に準備しておけば、会議中にリアルタイムでメモを取る際の枠組みとしても活用できます。
より質の高い議事録を作成するためには、ChatGPTの特性を理解した上で、以下のような高度なプロンプト設計を行うことも効果的です。
あなたは経験豊富な経営企画部のアシスタントです。ビジネス文書作成のプロとして、簡潔でわかりやすい議事録を作成してください。
以下の構成で議事録を作成してください。
- ヘッダー:会議名、日時、参加者一覧
- 各議題:H2見出しとし、主な議論と結論を200字程度で要約
- 決定事項:箇条書きで明確に
- アクションアイテム:表形式で「担当者」「タスク」「期限」「進捗状況」を記載
- フッター:次回会議情報と議事録作成者名
製品開発部門の技術的な議論が含まれる会議のため、以下の点に注意してください。
- 技術用語は正確に使用する
- 決定に至る技術的根拠を明記する
- 未解決の技術的課題は「検討事項」として別セクションに記載する
今回は意思決定会議のため、各議題について「議論のポイント」「検討された選択肢」「最終決定と理由」が明確になるように構成してください。
これらの要素を組み合わせることで、単なる会議の記録ではなく、後から見返した際に議論の流れや決定の背景まで理解できる質の高い議事録を作成できます。
ここからは、具体的な業務シーンごとに、ChatGPTを活用した議事録作成のプロンプト例をご紹介します。
リモート会議では、録画や自動文字起こしツールを活用できるケースが多いです。これらのツールと組み合わせることで、より効率的に議事録を作成できます。
<プロンプト例>
以下はZoomの自動文字起こし結果です。これを基に、議事録を作成してください。文字起こしの誤りを修正し、話し言葉を書き言葉に直してください。
[文字起こしデータ貼り付け]
会議の基本情報:
・タイトル:第3四半期販売戦略会議
・日時:2025年3月10日 14:00-15:30
・参加者:営業部5名、マーケティング部3名、商品企画部2名
アイデア出しや自由討論の場合は、発言の流れよりも出てきたアイデアや気づきを整理することが重要です。
<プロンプト例>
以下は新商品企画のブレインストーミングセッションのメモです。これを以下の構成で整理してください。
1. 出されたアイデア(カテゴリー別に整理)
2. 特に反応が良かったアイデア
3. 今後検討すべき課題や疑問点
4. 次のステップ
[メモ貼り付け]
毎週行われるような定例会議では、前回からの変化や進捗に焦点を当てた議事録が有効です。
<プロンプト例>
以下は週次プロジェクト進捗会議のメモです。前回(3/10)の議事録も参考に、主な進捗、新たな課題、決定事項を中心にまとめてください。
【前回の議事録】
[前回議事録貼り付け]
【今回のメモ】
[今回のメモ貼り付け]
AIを活用した議事録作成のメリットは以下のとおりです。
1.時間の大幅削減
2.一貫性のある質の高い文書
3.議事録作成のハードルを下げる
4.振り返りと知識共有の促進
議事録作成は、ビジネスにおいて地味ではあるものの非常に重要な業務です。ChatGPTなどのAIをうまく活用することで、この「見えない負担」を軽減し、より本質的な業務に集中できる環境を作りましょう。
まずは小規模な会議から始めて、徐々にプロンプトや運用方法を改善していくことをおすすめします。AI活用の第一歩として、議事録作成の効率化から始めてみてはいかがでしょうか。